第66回日本伝統工芸展 京都展
京都高島屋で開催されている日本伝統工芸展に行ってきました。
日本伝統工芸展は、昭和29年から開催されています。
陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門から、厳しい審査を経て入賞した、特に優れた伝統工芸品が一堂に並ぶ展覧会です。
中には人間国宝の先生方の作品も並んでいます。
今回わたしは、2つのギャラリートークを担当させていただきました。
まず、新人賞を受賞された、
人形部門
北芳子先生 の
木芯桐塑布紙貼「春の宵」
与謝蕪村の句「公達の 狐化けたり 春の宵」をモチーフに制作されました。
狐が公達に化けて桜を愛でる姿。
正面から見るだけではわからないのですが、実は狐の面が頭の後ろに隠れています。
(館内撮影はNGなのでパンフレットを写メ)
狐感を出すのに、尻尾にしようか、手にしようか、随分悩まれたそうです。
結果、狐のお面にしよう、と。
装束(狩衣)の色合いも淡い墨色で素敵。
本当は、黒の布。でしょうね。
宵色というのでしょうか。肩から裾に、かけてグラデーションがかかっています。
また、止まっている人形に躍動感を出すため、
実際に動くとどんなシワ、たわみ、が出るのから野村萬斎さん主演映画、陰陽師をご覧になって研究されたそうです。
与謝蕪村は画家でもありましたが、こんな形で、句が立体的になるなんて。
北先生、是非俳句シリーズでの人形を作ってください!
そして、もうひと方、
金工部門の列品解説をしてくださったのが、
彫金 象嵌作家の山本夏顕先生。
普段使われている道具、
また、鋳金、彫金、などの違いを表にしていただき、わかりやすくお話しくださいました。
金工って、一言でいうと幅が広い。
素材選びから、制作の工程、素材を溶かしたり、叩いて伸ばしたり、いく通りも方法があります。
これはどうやってるんだろうなあ。と思いながら鑑賞するのも、また楽しみの一つなんだそうです。
どの作品も、 それぞれに引き込まれる要素があり、時間を忘れて見入ってしまいました。
また伝統工芸品は、温故知新の考え方が背景にあるそうです。新しい息吹が込められているからこそ伝統を守っていける、との考え方です。
止まらない職人の飽くなき挑戦と信念を感じることができる展覧会です。
京都以外でも、全国で展覧されます。
お時間ある方は是非お出かけください。
なみ