濃い恋の話
本を読みたいけど、長編ではなく短編をさらさら読みたい。
そんな時、目にとまったのがこちら。
宮本輝さんが短編小説の名作を選んだもので、16篇収録されています。
若い人に小説を読む喜び、感動を知ってもらいたい。
そう書いてあります。
ぱらぱらめくると、永井荷風、川端康成、吉行淳之介、武田泰淳…と 幅が広い。
どれから読もうかな。ぱっと開いたページからとか。
そんなことを思いながら、いくつか読みました。
殆どが、
濃い恋の話。
今の言葉で言ったら「不倫の話」になるのかな?
んでも、違う。
そんな陳腐な安っぽい二文字じゃなくて、
作者それぞれの表現の仕方で、こんなにも濃い恋の話が変わるなんて。
というのが、正直な感想。
美しく書こうとしていないのに美しいのが、日本文学の素晴らしさなんでしょうか。
例えば、「蜜柑」て文字をみたら、もうこれだけでとろけそうになるでしょう?
「みかん」とは違う。
数を数えることもそう。
蜜柑なら一つ。
葡萄なら一房。
西瓜なら一玉。
こういうのって、英訳しても、
なんていうのかな、温度が伝わらない。
温かいのか、熱いのか、冷めてしまっているのか、
触れたように、温度が伝わる表現の仕方ができるのが、日本文学の素晴らしさなのだと思います。
なみ